アトピー性皮膚炎の治療で最も大切なことは患者自身によるスキンケアです。
皮膚の発赤やかゆみがみられる炎症部位には、ステロイド軟膏治療が不可欠となりますが、皮膚症状がある程度沈静化してからの治療が大切で、その治療法がスキンケアです。
アトピー性皮膚炎の患児の皮膚は乾燥しています。いわゆるドライスキンと呼ばれる皮膚です。これが入浴により、さらに乾燥を助長することになります。
アトピー性皮膚炎患者の入浴は、皮膚に付着する種々の刺激物、汗、汚れなどを除く上でも必要なものです。しかし、熱すぎる湯はかえってかゆみを誘発します。そのため、通常の入浴温度よりやや低めに設定してください。38〜40度ぐらいが適当でしょう。
石鹸は、ほとんどの例で通常の化粧石鹸を使用してかまいません。ただし通常の化粧石鹸の使用によって、皮膚症状が悪化される方は、低刺激性の石鹸を使用してみる必要があります。しかし石鹸を用いて悪化しているケースは、ほとんどが洗い方に原因があります。
健康な皮膚をごしごし洗う洗い方は、アトピー性皮膚炎の症状悪化につながりかねません。石鹸を充分に泡立てて、その泡で皮膚を洗う(素手で洗う)といった洗い方をする必要があります。湿疹病巣部位をゴシゴシ特に、ナイロンタオルを使用して洗うのは避けて下さい。
次ぎに大切なことは、その石鹸を十分に洗い流しておくことです。石鹸が残っていると皮膚症状が悪化することはいうまでもありません。
そして入浴することによって皮脂が取れて乾燥しますので、入浴後には必ず保湿剤を塗布してください。
シャンプーは、洗浄力が強く、かつ皮膚を刺激する率が高いようです。短い頭髪なら、化粧石鹸で洗髪する方がいいでしょう。シャンプーが身体につくとかゆみを誘発しますので、やむをえずシャンプーを使用するときには、年長者は洗髪台を使用し、乳幼児は膝の上に抱きかかえ、出来るだけシャンプーがかからないようにしてください。シャンプー後は十分に洗い流してください。
日本人の風呂好きを利用して、種々の入浴剤が市販されていますが、アトピー性皮膚炎患者では使用しない方がいいでしょう。